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イ ベ ン ト の ご 案 内

◆さまざまなものを超えて「九条」という一点で集う◆



源氏物語1000年メモリアル平和説法
生 き る こ と は 愛 す る こ と
瀬戸内寂聴さん講演
  第5回集会:2008年12月7日実施 報告。

      

 


「我が窮状」を歌う水光美香さん



開演のご挨拶をする
林弘子(福岡女性九条の会)

12月7日、イチョウの葉が色づく福岡市内福岡国際会議場で第5回集会を行いました。今回の講演に瀬戸内寂聴さんを迎え、1000人の会場が、9条を守ろうという思いと寂聴さんへの期待で埋まりました。

オープニングは水光美香さんの「我が窮状」独唱。アカペラでの熱唱でした。(「我が窮状」は沢田研二さんが平和憲法九条への思いを込めて作詞。)

瀬戸内寂聴さんは平和への思いをご自身の中国での戦争体験を通じて話されました。また、仏門に入ってからのエピソードなど興味深く、ユーモアあふれる語り口に会場は笑いの渦。生への揺るぎない信念と人への愛から生まれる、確信に満ちた言葉は聞く人にしっかりと刻まれたようです。
寂聴さんは京都で梅原猛、鶴見俊輔さんらとともに「憲法9条京都の会」を発足し、代表世話人に選出されています。

以下に、お話しの内容の一部をご紹介します。

お釈迦さんの教えの根本は、
「殺すなかれ、殺させるなかれ」


憲法9条グッズの
販売もありました



会場からの質問に
答える寂聴さん



閉会のごあいさつをする
喜多悦子(福岡女性九条の会)

お話しの中から
北京で迎えた終戦の模様を抜粋してお伝えします。

<略>
 夫は北京にいて召集されました。そのとき、私は赤ん坊を産んだ直後でしたが、覚悟して彼を送りました。支度をしてあげなければなければならないのに(持っていくものとかを揃える必要がありました)、それを買うお金もないのです。
 夫は、最後は、北京大学にいたのですが、北京大学は日本が管轄していて、日本の先生のお金は日本から来ていたのです。お金が届かなくなって、無収入になっていたのです。持っていた私の着物を売って、それで生活していました。
<略>
 北京の西御門にある小さな運送屋さんに就職が決まりまして、やれやれと思いました。子供を預けて、揚々と一日目の勤めを始めました。仕事は電話番です。運送屋さんですが、朝から「お宅に発送を頼んだが、止めてくれ。キャンセルする」という電話ばかり続々と来るんですよ。やっと勤め口が見つかったけれど、預かった荷物の発送の取り消しがこんなに来るなら、この店はすぐにつぶれるに違いない。これはえらいところに来たと思いました。
 そうこうしているうちにお昼になりました。私を入れて4、5人が店の主人の居間に呼ばれました。そこでラジオを付けて「みんな、ラジオを聞け」と言うんです。ラジオから聞こえてきたのは、ザーザーザーザーと波の音のような雑音です。その中に甲高い男の人の声が聞こえてきて、何を言っているかよくわからないのですけれども、主人が突然泣き出しました。どうしたのかと思ったら、「戦争に負けた」と主人が泣き伏したのです。その瞬間に頭に浮かんだことは、夫のことではなく、うちに残した子どものことだけです。これは大変だと思って、急いでさよならも言わないで、半日分の給料をもらうのも忘れて家に帰ったのです。
<略>
 私は、わずかの期間ですが北京で暮らしていますから、日本人が、北京に残っていた中国人をどんなにひどくいじめていたかを見ています。阿馬(あま:お手伝いさん)を蹴ったり、年寄りのボーイを殴ったり、叩いたりしてひどいことをしているのを見ていましたから、終戦になったら、皆殺しになっても仕方がないと思ったのです。ですから、どうやって子どもを連れて無事に北京から逃げ出すか、日本に連れて帰るか、そのことで頭がいっぱいでした。
 そういう状況ですから、門を閉め、息を潜めていました。翌朝、そっと門を開けて外を見ますと、うちの前は大きな家で兵隊さんたちの遊び場、たまり場だったのですが、その家の塀に赤い短冊に墨の文字で「仇(あだ)に報いるに、恩を以って処す」と中国語で書いてあるのです。その短冊がずらーっと貼ってありました。それを見たときに、腰を抜かしそうになるほどびっくりいたしました。こういう思想を持った国と戦って、日本は負けて当然だと思いました。日本が戦争に負けても、仇討ちをして、意地悪や仕返しをするなということでしょう。そういうことを経営者が、一晩で書いて、貼って歩いたのです。それを見てほっとすると同時に、恥ずかしい思いをしました。そのとき初めて、戦争に負けたんだという気持ちがいたしました。
<以下略>


ありがとうございました。

福岡女性九条の会
事務局:福岡市中央区天神、女性協同法律事務所内 TEL.092-751-8222 FAX.092-751-8220