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イ ベ ン ト 報 告

◆さまざまなものを超えて「九条」という一点で集う◆


福岡女性九条の会 〜 平 和 の た め の 夕 べ 〜
澤地久枝さん講演「小さな人間のこと」
  
講演ダイジェスト報告 2007年12月2日実施

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敗戦直後、どこかの国で何かあったらすぐ出かけていって戦争をしようと思った人は、ごく少数の人を除いていなかったと思います。現在わたしたちが手にしている憲法が生まれるのはあたりまえという状況の中で憲法は生まれました。
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ミッドウェー海戦の日本とアメリカの全戦死者を確認し、名前とか家族とか学歴とか、何歳で死んだかなどを調べ、仮説として、アメリカには第2次大戦で戦死した人の子供が、戦後に戦死しているのではないか、という予想がありました。(略)
ある米側遺族は、第2次世界大戦のあと、朝鮮戦争、ベトナム戦争に直面した。湾岸戦争に息子を出した家では、帰ってくるまでひとときも休まるときはなかったと言っていました。窓から見る車も電話も恐怖だったそうです。いつ戦死の知らせが来るかしれないということですね。これが現在のアメリカの市民社会です。無事に帰ってきてもトラウマで自殺をしたり、精神的に市民生活に戻れない人がいる。(略)
父がミッドウェー海戦で戦死し、その後生まれた息子はベトナム戦争で戦死というケースに出会いました。アメリカにはアーリントン墓地という国営の墓地があります。ここに、生前遭うことができなかった父と息子が並んで埋葬されているお墓がありました。
これを見て、こういうことは日本にはなかったんだということを心に刻んできました。では、日本は大丈夫かというと、日本はぎりぎりのところに居るんだと私は思っています。
2001年9月11日のあのテロの後、アメリカは報復の戦争をはじめ、日本はぴったりくっついています。しかし、戦争による解決などない。泥沼と無惨な死のくりかえしです。
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1928年の世界不戦条約というものがあります。紛争を解決する手段としては戦争を止めようと1928年に世界中の主だった国が集まって決めています。第一次大戦の教訓からです。日本も批准したのですけれど、「人民」を「天皇」に置き換える注釈をつけています。総理大臣を務めた田中義一という陸軍大将の談話を最近見たのですが、「これは不戦条約だけれども、自衛を禁止するものではない。自衛は例外だ」と言っているのです。そのころから「自衛」はマジックだったのです。だから満州事変も日中戦争も「自衛のために」の名目でやれたのです。
最近新聞などで、集団自衛権というものが話題になっています。これは、自国ではなく友好国が、ある国と戦争するとき、日本もともに戦争しようということでしょう。そのためには今の憲法では無理なんです。憲法を変えねばとなってきたのが最近の政治です。非常に露骨に、アメリカとともに戦争する国になろうとしています。
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「小さな人間が大事、小さな人間が動かなければ政治は変わらない」と言ったのは今年7月に亡くなった小田実さんです。小田さんが亡くなって私はショックを受けています。かけがえのない人を失い、残念です。小田さんは、世の中を変えていくのはお偉いさんでもなんでもなくて、一人ひとりの小さい人間だと、一生懸命言いましたね。小さな人間が動かなければ政治は変わらない。政治家や官僚の野放図な動きに一喜一憂しても仕方がない、それより、自分たちのあり方をちゃんとしていく。問題は次から次に出てくるが絶望しても仕方がない。一人でもやる。一人でも止める。・・・と小田さんは言ったんですね。これはとても大事なことです。一人でやるというのは勇気の要ることです。今必要なのは、自分で考え、自分で判断し行動する、1人から始まるということです。
デモをしたりするとき、小田さんはいつも先頭に立っていました。こんな文化人っていないと思います。
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九条の会は小田さんが亡くなって、一番若いのが大江健三郎さんです。9人が8人になり7人になりやがてゼロになる。自然の摂理ですね。そうすると、この九条の会はどうなるだろうと考えました。でもね、ゼロになってもわたしたちが憲法の原点にかえろうという、日本の政治を少しでもよくしようとする気持ちは受け継がれると思う。
夢が叶うという日はなかなか来ないだろうけど、それくらい時間がかかることをわたしたちはやろうとしている。これは日本人としてやらなければならない美しい仕事ですね。美しい国、ではないですよ。美しい仕事をやらなければならないとしたら、私は死ぬまでこの志を捨てられないでしょう。
私には私しかできないものがあるかもしれない。私は77年人生を生きてきて、決して順調ではない人生で病気もいっぱいした。でもここで、もうここからは譲れませんよという勇気がなければならない。戦争で多くの人が死んで、そういう人たちのことを書いてきた物書きとして、逃げることは許されないと思っています。私はみなさんと一緒に、みなさんのしっぽにくっついて歩こうと思っております。それは長い道になることを覚悟しましょう。小田さんがこう言っていました。「市民運動が高揚したからといって、あした全部変わるわけじゃない」と。それはそうですね、ここまで悪くなっているのですから。
人の心が荒れ、あしたの日本は一体どうなるのだろうかと思うとき、
絶望する前に、ちょっと立ち止まって深呼吸して、これでいいのか考えてみましょう。世の中の変化は、小さな人間から始まる。それはあなたであり、私なのです。




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福岡女性九条の会
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