去る2009(平成21)年5月23日(土)、福岡女性九条の会第6回集会が、都久志会館で開催されました。
今回は「命に国境はないーイラクで非暴力は実現するか−」というタイトルで、高遠菜穂子さんに講演していただきました。
2003年3月にイラク戦争が勃発。ブッシュ大統領の大規模戦闘終了宣言が発表された5月から、高遠さんはイラクに入国されますが、2004年4月、4回目の入国の際に、ファルージャ近郊で地元勢力に拘束されました。そのわずか4カ月後、隣国のヨルダンからイラク支援を再開され、この5年の間に約30回ヨルダンやエジプトへ行き、医療支援や再建プロジェクトに携わり、今年5年ぶりに現地のイラクに入られました。
今回の講演では、その活動の様子や、悲惨な戦争の実態などを、写真やビデオを使ってお話いただきました。
講演の中で、元来イラク社会は、宗教や民族に関係なくコミュニティーが作られていたところ、イラク侵攻によって、様々な原理主義が入り込んで、深刻な対立を生み、共存社会が崩壊の危機にある ということ、アメリカ軍の攻撃にさらされ悲惨な状態になった遺体を、なおアメリカ軍により非情に扱われたイラク住民が屈辱と怒りを感じていること、家族を殺された現地の人々が、アメリカへの報復攻撃に向かうという負の連鎖が起こるという話には、衝撃を受けました。
しかし、そのような過酷な状況においても、イラクの住民自身が立ち上がり、一部地域においては、武器によらない、アメリカ軍との対話による解決が進められていること、そうしたことを踏まえ、戦場では丸腰でいることが高い確率で身を守る方法だというお話に感銘を受けました。
そして高遠さんが、イラクの人々や支援先の人々からのや温かい言葉や励ましを受けて、前向きに活動を進めていきたいと力強く言われたことは心に残りました。
またマスメディアによる報道は、多数の人に広く事実を知らせ、反響を呼ぶ反面、重要な事実が敢えて国内で報道されないことがあり、国際社会の情勢と日本人が与えられている情報の差はとても大きいということを知り、ショックを受けました。
|