2009年12月19日(土)、朝日新聞記者の伊藤千尋さんをお招きして、第7回集会を都久志会館で開催しました。世界68カ国を取材した経験をもとに、「世界から見た日本国憲法ー活憲の時代ー」という演題でお話ししていただきました。内容は以下のとおりです。
アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島に、「憲法9条の碑」があります。スペイン語で日本国憲法9条が刻まれています。1996年に当時の市長が道路工事で余ったスペースを「平和について考える場にしたい、ならば日本の憲法9条だ」と提案し、ヒロシマ・ナガサキ広場と名づけ碑を建てた。完成時には「歓喜の歌」で祝ったそうです。9条は世界の平和の象徴になっているんです。
平和憲法を持ったのは日本が最初です。南米の小国コスタリカは1949年に平和憲法ができました。前年に内戦があり多くの犠牲者が出た。武器をなくせば内戦がなくなると考えたのです。コスタリカは貧しい国です。国家予算の30%が軍事費だったのをそっくり教育費に回したんです。日本は戦力を保持しないといいながら、自衛隊という世界有数の「戦力」があります。コスタリカは国の発展のためには教育にこそお金をかけるべきだと考えたのです。「兵士の数だけ教師を作ろう」をスローガンにして。
コスタリカでは小学校の入学式で「愛される権利がある」と教えられます。愛されないのは憲法違反だ、自分の権利が侵されているのは憲法違反だと小学生が訴訟を起こすのですよ。憲法違反の訴訟は年間12000件。それに対応する裁判所の仕組みもできています。
日本人は「陳情、請願、嘆願」ですよね。そうでなく、もっと憲法を使うべきじゃないでしょうか。使わないでいて改憲・護憲の議論をすること自体おかしいんじゃないですか。
特派員としてアメリカに赴任してすぐ、9.11テロが起きました。アメリカ全体がブッシュに結集しました。大統領に戦争の権限を一任する法律を作ると。そのときバーバラ・リーさんという女性議員1人が反対票を入れたんです。当然すごいバッシングですよね。選挙区でも抗議の嵐でした。でも彼女は引き下がらなかった。「大統領がいつも正しいわけじゃない。自分は憲法に立ち戻って議員の役割を考えた」と訴え続けた。そして1年後の選挙で圧勝したんです。」
日本は本当の意味での市民社会になっていません。政治を官僚から政治家のものにするだけではまだまだ足りない。国民に取り戻そうじゃありませんか。他国が羨ましがるいい憲法をもちながら、使わないのはもったいない。何もしないのは反対してるのと同じですよ。金大中韓国元大統領の言葉を借りて「行動する良心たれ」と言いたい。
憲法を活かし、世界中に広め、そして自分自身を生き生きと輝かせようじゃありませんか!
当日、福岡地方は寒波に見舞われ朝から雪が降りました。飛行機の便が心配なほどの状況でしたが、いざ講演が始まると熱い語り口に会場が感動の渦に包まれました。アンケートで「自分も動かなければ!」という感想が多く寄せられました。どうもありがとうございました。
|